atk FREERAIDER 14 binding
2022/09/27
お店でよく見るTechビンディングは、本家のdynafit、G3、marker、アメア系(salomon,atomic)、ロストアロー取扱のfritschi(tecton)あたり。
この辺のメーカは国内代理店がある程度大きくて、流通がしっかりしてるのでツアー系ビンディングを取り扱っているところにいけば、だいたいどこにでも置いてある。
でも、これ以外にもTechビンディングを作っているところはあって、一時期一部で話題になったw atkというメーカのビンディングがちょっと気になった。
んで、だいたいこういうパターンだと気づいたらポチってる訳で…。
というわけで、買ってちょっと使ってみたのでメモ。
atkってどんな会社?
イタリアの会社。
会社規模的にはそんなに大きくなさそうだけど、近くにはフィオラノサーキットとか、フェラーリ博物館とかそういった自動車産業関連の会社がたくさんあるところにあるみたい。
2007年創業らしいので、15年程度の会社みたい。
勝手な想像だけど、これ一本じゃなくて他にも事業をしているなかの1部門だったりするんじゃないかなぁ・・・なんて・・・。
どんな特徴があるの?
基本的な構造はピンでかかとを止めるタイプの、伝統的なTechビンディングの構造。
ただ、後発なだけあって、色々と本家や大手とは違ったアプローチをしている。
一番特徴的なのが、ほとんどの部品がアルミ合金の削り出しでできている。
今回購入したFREERAIDER14だと金属製じゃない部品といえば、トゥーピースの一部とヒールピースのベースプレートと、バックパネル?のあたりくらい。
同構造のdynafitやG3ビンディングはヒールピース側の部品がプラスチック部品だったりする。コレ自体はちゃんと強度とかを考えて作ってるだろうから、プラスチックだからといって問題はないと思う。
だけど、この総金属削り出しの部品を見ると・・・・なんか・・・・( ・∀・)イイ!!
男心をくすぐるガジェット感!
今回購入したFREERAIDER14ってモデルはアルミ合金製だけど、モデルによってはA7075の超々ジュラルミン製のモデルもあったりする。(ジュラルミンもアルミ合金だけど…。)
軽量差と堅牢さを兼ね備えたモデルになってるみたい。
外観インプレ
綺麗にアルマイトされた削り出しの部品!
ガタのない、カチッとした操作感。溢れ出す高級感!
もう、それだけでお腹いっぱいw
重量
軽量なTechビンディングだけども、重量詐欺もちょいちょいあるので、総重量の計測は大事。
公式の重量は片足360g。
片足の実測値(取り付け用のネジ含)はこちら。
使用感
まずはトゥーピースから。
構造は普通のTechビンディング。
踏んではめるだけ。Tectonとかみたいなトゥーピース側での解放構造とかはない。
G3のようにパチンと閉じるトラバサミ感はないものの、トゥーピースのレバーがストッパーを兼ねてる構造で、位置決めがしやすくて装着は想像以上にやりやすい。
ブーツをレバーに当たるところまで持っていったら、そのまま踏み込めばパチン。ここでも金属部品ばかりの影響なのか、がたの無いカチッとした動きで好印象。
トゥーピースの下には若干空間があるけど、ここに雪が入ったら抜けなさそうなのがちょっと気になる。
メーカーは「snow pack proof」とかうたってて、トゥーピースのデザインの特徴として、雪や氷が付着したり溜まるのを防ぐとは言ってる。
ここは長い間使ってみないとわからないかな…。
他に特徴的なのは、ロックした際のピン間の広さ?を調整できる機能が付いている。
soft,mid,hardの3段階。ウォークモード時のロックの硬さを調整できる。
体重の重い人はhard、軽い人はsoftって設定を想定していたり、ブーツのTech insertが摩耗した際の調整にも使えるみたいなんだけど、正直あまり使用するイメージが湧かない…。
ヒールピースに関しても、前述のとおり基本構造はまるっきりdynafitのTechビンディングと同じ。
少し違うのは、ヒールピースとブーツの間に4mm程度スペースを開ける構造になってる。とはいえこのスペースを開けるのは昔のdynafitビンディングと同じ。
現行のdynafitのradicalシリーズとかG3のionとかは、ヒールピースをブーツに接触させるような仕様になってて、スプリングで保持されたヒールピースが撓みに追従する形になってる。
昔のdynafitのビンディングだと、ここがリジットでヒールピースとブーツ間のスペース以上にスキーがしなると、ヒールからトゥーピースに対してブーツを押し出すような力が強くかかってた。
atkのこのビンディングも現行のdynafitとかと基本的な構造は同じなんだけど、6mm程度までは(スペースがあるので)板の撓みを邪魔しないようになってて、このスペース量を超えたら前圧をかけつつヒールが追従する形になってる。
黒いスプリングが見えるかな?
開放値の設定は、上下と左右が独立して設定できる点も、dynafitとかと同じ。
これは左右の開放値だけど、穴から数字が見えるのでとってもわかりやすい。
ほかにも、このfree raidar14にはオプション設定されているフリーライドスペーサーっていうブーツのソールとの接触面を増やすスペーサーがはじめからついてる。
ブーツで踏んだ力を余すことなくスキーに伝えられるようにっていう構造。(実際にどの程度効果あるのかはよくわからないけど…。)
ブーツによって、ソールの厚みが違う点も抜かりなくて、自分のブーツに合わせたシムをいれて高さの調整ができるようになってる。
ヒールピース側で気になる点といえば、ブレーキの構造はdynafitとかとは違って、ウォークモードにしても自動的にブレーキロックはかからない構造。
意図的にボタンでブレーキを引っ掛けないと、ブレーキがでっぱなしになっちゃう。
これは使いやすいかと言われるとちょっと疑問。
ボタンを押しながらブレーキを縮める必要があるので、ちょっと手間。
というのも、ブレーキロックして歩いてシールを剥がそうとしたときに、意識してブレーキをリリースしないと板を流しちゃうリスクがある。
まぁ、普通のdynafitとかでもウォークモードからスキーモードに切り替えないと同じっちゃー同じなんだけど、このビンディングの場合はスキーモードに切り替えるのに加えてブレーキをリリースする必要がある。
滑り出すまでのルーチンが体に身につくまではちょっと怖いかな…。
あとは今回使ってないけど、ヒールピースのライザー(登る時の踵の高さ調整するやつ)がマグネットでくっつくようになってて、結構使いやすそう。
また、実際に使うかはわからないけど、dynafitとかは0度とライザーの高さが2段階の計3パターンで調整しながら登るけど、これは0度の他にヒールピースの表裏っていうとわかりづらいけど、ブーツ固定のピンがブーツに向いている状態(滑走する際のむき)と一般的なウォークモードにしたときでライザーの高さが違う高さになるようになってて、合計で5パターンの高さ調整ができるようになってる。
軽量モデルだからこそ歩くことにも重きを置いているデザインだなぁ〜という印象。
滑走感
軽量なビンディングなので、まぁお察し・・・と思いきやゲレンデで1日滑った程度だけど、弱い感じとかは一切感じなかった。
多分、構造云々より、材質の問題なんだと思う。プラスチックの弾性感がないので硬いとかカチッとした印象を受けたんだと思う。
スキーモードでヒールをロックする際に踏み込む時とか、抵抗感が少なくてカチッとしてて、すごく操作感が気持ちが良い。
かといって、ロックの弱さを感じるわけでもない。
もちろん、アルペンビディングとは構造も違うので、それとは分けて考えないとダメ。
個人的には、いま、自分がメインで使ってる板はkingpin乗せてるけど、載せ替えたいかも・・・と思うくらい好印象。
まぁ、現行kingpinのトゥーピースが自分は使いづらくて仕方ないからってのもあるんだけど…。
atkのビンディングには関係ないけど、一応補足。
kingpinのトゥーピースが悪いんじゃなくて、自分が使っていたブーツについているTechのピンを受ける、ブーツに埋め込まれている金具形状が古い物でピンを受ける縦のスリットがないからすごく着けづらかったと判明。QuickStepInの金具じゃなかった。
QuickStepInの金具が付いているブーツで使ったら何も問題なくつけられました。
kingpinに罪はなかったです。ごめんよ…。
総評
このfreeraider14はセンター幅が95–120mm、重さが1200–1900g程度のスキーがメーカからはリコメンドされてる。
少し軽量な板向けという設定。メタル入りとかの板だとちょっとこれは違うなーとなりそう。
値段は正直安くない。国内代理店経由で買うと基本10万オーバーだし、取扱店舗も少ないのでなかなか気軽に載せることもできない。
でも、既存のTechビンディングだとなんかつまらないなぁ・・・と思う方や、Techビンディングの軽さはほしいんだけどプラスチック部品が割れちゃうような滑りをする方は選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?
techビンディングが初めての人とかにはお勧めしないけど、ある程度使い慣れた人とか、人と違うものがほしい人にはありだと思います。
あ、山に行かない人や年に1、2回程度でしたらこんなの買わないで別のビンディング買った方が幸せになれると思います。
クランポンはdynafitやmarker kingpinの物と同じ形状なので、流用できます。ただ。スライド部分が少しタイトなので、出っ張りがあると引っかかってしまいます。
出っ張り部分を削ったら取り付け可能とのことです。